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かそうこくふうけい

火葬国風景

海野 十三

「帝都日日新聞」1935(昭和10)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,334 字 · 37 页

青空文庫

木の香新しい、表面がツルツル光っている机の前に始めて座った時、その隣りに並んでいるオズオズした少年が鼠谷仙四郎君だった。そのころの鼠谷は、顔色は青かったが、涼しいクリクリする大きい眼を持ち、色は淡いが可愛い小さい唇を持った美少年だった。たまたま机を並び合ったというので、二人の少年はすぐ仲善しになってしまった。この仲善しは、年と共に濃厚になり、軈て大学を卒業すると二人はこれまでのように毎日会えなくなるだろうというので、女学生もやらないだろうと思われるほどの大騒ぎを起したのだった。

その揚句、八十助と鼠谷とは一つのうまい方法を考えた。そのころ二人とも勤め先が決っていて、八十助は丸の内の保険会社に、鼠谷の方は築地の或る化粧品会社へ通勤することになっていた。それで申し合わせをして午後の五時ごろ、二人が勤め先を退けるが早いか、距離から云ってほぼ等しい銀座裏のジニアという喫茶店で落合い、そこで紅茶を啜りながら積もる話を交わすことにしたのだった。これは大変名案だった。二人はすっかり朗かになり、卒業のときに大騒ぎをしたのが可笑しく思われてならなかった。

ところがこの名案ジニアのランデヴー(?)は名案には違いなかったが、彼等二人の交際に思いがけない破局を齎すことになったのも運命の悪戯であろうか。