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かやくせん
火薬船
海野 十三
「大日本青年」(「浪立つ極東航路」のタイトルで。)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 61,552 字 · 124 页
「おい、ハルク、おれだ、竹だ。お前の仲よしの竹だよ、ほら、よく見ろ」
竹見は、マッチをすって、自分の顔を照らした。だがハルクは、目を開かなかった。まぶたをあける力もないのであろう。でも竹見のこえはわかったと見え、かすかにうなずき、
「うん、た、竹か。よ、よく……」
よく来てくれた――といいたいのであろう。
「一体どうしたのだ。ハルク。おや、脚をしばったり……。おお。脚が紫色に腫れあがっているぞ」
「へ、蛇だ。ど、毒蛇だ……」
「なに、毒蛇にやられたのか、そいつは災難だなあ」
「いや、ノルマン……」
といいかけて、ハルクは、苦しさのあまり、また昏倒してしまった。
竹見は、おどろいた。何もかも、一ぺんにやりたくて、焦れったかった。
彼は、ノーマ号へ乗り込んだときからの、この親切な巨人のため、おんがえしのいみで、できるだけのことをした。傷口を、持って来た洋酒で洗ったり、新たに膝のうえで縛り直したり、それからハルクの口を割って気つけ薬を入れてやったりした。
その手篤い看護が効を奏したのか、それとも竹見の友情が天に通じたのか、ハルクはすこし元気を取り戻したようであった。