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ほのおのなかにうたう
焔の中に歌う
野村 胡堂
「文芸倶楽部」1928(昭和3)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,476 字 · 27 页
の鱗が生えて居たということです。
学者の意見を聴くと、それは象皮病のような一種の皮膚病ではないかということでしたが、深井少年は、その鱗は、「病気という性質のものではなく、自然に生えた真珠色の本物の鱗に相違ない」と主張して居るのです。
人間の頭に鳥の骨があったり、猿の目があったりする例があるなら、鱗の生えた人間があり得ないとは言い切れません。何万年前の脊椎動物は悉く水棲したもので、進化論は、人間と魚と同じ祖先から出たことをさえ証明して居るのです。
それは兎に角、その恐ろしい秘密を見せてしまった、歌姫の駒鳥絹枝は、もう一度ガウンを着ると、気違染みた態度で言い続けるのです。
「私に、恋も結婚も禁じられて居た事は、よく判ったでしょう、禁じられたものに対する熱望で、私はどんなに恋の遊戯に耽ったことでしょう。私のために死んだ男の数は、算えるだけでも恐ろしい。私はもう死に度い、けれども、この醜い身体を後に残して、私は死ぬにも死に切れないのです。――私を殺して下さい、そして、私の死体をそっと焼き捨てて下さい、深井さん、後生だから、私を火の中へ投げ込んで、未来永劫私の醜い死体を、世の中の人の目に触れないようにして下さい、ネ、ネ、ネ、貴方は何も彼も見てしまった、私を殺さないうちは、この部屋を出しはしません、どんな事があっても