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ばくやくのはなかご
爆薬の花籠
海野 十三
「少女倶楽部」1940(昭和15)年6月~1941(昭和16)年6月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 101,908 字 · 204 页
「だれが、贈ってくださったのでしょうね」
と、房枝は、小首をかしげたが、そのとき、ふと気がついて、
「ああひょっとしたら、部屋においてあるあの片っ方の草履の奥さまがおくってくださったのではないかしら。でもまさか」
と、房枝は、自問自答をして、再びその花環へ、まぶしい視線を送ったが、そのとき、房枝は、とつぜん、「あっ」と、大きな叫びごえをあげておそろしそうに身をひいた。
「どうした、房枝。いきなり、そんな大きなこえを出して」
房枝は、そのとき、新団長の腕を、しっかととらえて、こえをふるわせた。
「ちょっと、あれを、あたしの大花環の横にならんで、気味のわるい花籠が」
「ええっ、気味のわるい花籠が?」
怪しき花籠
「気味のわるい花籠? あの花籠なら、たいへんきれいじゃないか」
と、黒川新団長は、房枝のことばを、むしろふしんに思っているようすだった。
房枝は、恐怖の色をうかべ、
「いいえ、あの花籠には、あたし見おぼえがあるのよ。あの雷洋丸事件の、そもそもはじまりは、あの花籠だったのよ」
「ええ、なんだって」
雷洋丸事件ときいて、黒川新団長は急に顔色をかえた。黒川はあのとき、トラ十の横に腰を下していたのだった。