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ばくやくのはなかご

爆薬の花籠

海野 十三

「少女倶楽部」1940(昭和15)年6月~1941(昭和16)年6月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 101,908 字 · 204 页

青空文庫

そしてだらだらよだれをたらしている。『変だな』と思ったときには、猫は、とつぜん大きなしゃっくりをはじめ、それからさわぎのうちに、冷たくなって死んでしまったのです。すしの中には、毒が入っていたのですなあ」

「うむ、そうらしい。毒物は検定にまわしたろうね」

「もちろん、すぐまわしました」

とこれは署長がこたえた。

小使さんの猫玉ちゃんが、トラ十へさし入れのすしを盗み食いをして毒死した、という事件が、ここの署員たちをたいへん驚かせ、そして、田所検事へ急報せられたというわけであった。すしを持って来た男は、もちろん玉ちゃんを殺すつもりではなく、留置所につながれているトラ十を毒殺するつもりであったらしい。いったい何者であろうか、トラ十を殺そうとたくらんだ者は? そしてまた、なにゆえにトラ十の死が、望まれているのであろうか。ミマツ曲馬団の爆破事件以来、大活動をしている田所検事の最大の興味は、実にその点にあったのである。

裏をかく棺桶

田所検事を中心に、会議はつづけられる。

「帆村荘六から、何か連絡はなかったかね」

検事が思い出したようにそれをいった。

「ああ、帆村君の連絡ですか。