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ばくやくのはなかご
爆薬の花籠
海野 十三
「少女倶楽部」1940(昭和15)年6月~1941(昭和16)年6月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 101,908 字 · 204 页
それが終ると、彼はほっとしたような顔つきになって、肘かけ椅子に、ぐったりともたれて、大きな息をついた。
とたんに、廊下にあわただしい足音がしたと思ったら、医務室の扉があいて、看護婦がもどってきた。
あぶないところであった。
看護婦が、もうすこし早く、この部屋へもどってくれば帆村探偵は、たちまち、怪しい行動を、見られてしまうところだった。
「どうしたんですか、看護婦さん」
と、帆村探偵は、なにげない様子で肘かけ椅子にもたれたままたずねた。
「あら、あなたをほったらかしにしておいて、どうもすみません。松ヶ谷さんが、石炭庫の中でたいへんなのよ」
看護婦は、手術の道具を、下へおろすのにいそがしい。が、手よりも口の方は、もっとよく動く。
「あたし、こんなおどろいたこと、はじめてですわ。松ヶ谷団長さんの顔ったら、たいへんよ。顔中すっかり火傷をしてしまって、それに眼が、ああ、もうよしましょう、こんなことをいうのは」
「眼が、どうしたのですか」
「あの様子では、もう永久に、物が見えませんわ、かわいそうに……。盲目になっては、猛獣をつかうことができないでしょう。お気の毒だわね。