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ばくやくのはなかご

爆薬の花籠

海野 十三

「少女倶楽部」1940(昭和15)年6月~1941(昭和16)年6月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 101,908 字 · 204 页

青空文庫

そしてその第一興行地を、今生産事業で賑わっている東京の城南方面にえらび、どうなるかわからないが、出来るだけのことをやってみようということになった。

城南方面を第一興行地にしようじゃないかといいだしたのは、調馬師の黒川だった。彼は松ヶ谷団長にかわって、ミマツ曲馬団の名をつぐこととなった。

「さあ、それでは、俺と、もう一人、女がいいなあ、そうだ房枝嬢がいい。二人で、これからすぐ城南へ出かけて、借地の交渉をしてこよう。それから、何とかして、衣裳の方も東京で算段してこよう」

「おい、黒川、いや黒川団長、城南には、お前、心あたりの空地があるのか。今は、空地がほとんどないという噂だぞ」

「なあに、大丈夫。俺は、いいところを知っているんだ。極東薬品工業という工場の前に、興行向きの地所があるんだ」

極東薬品工業? 聞いたような名だ。いや、それこそ彦田博士の工場であった。今そこでは、帆村の持ちかえった極秘の塗料の研究がすすめられている。

東京へ

房枝たちが養われている新興ミマツ曲馬団が、今後うまく立ちなおって、よい興行成績をあげるようになるかどうか、それは団員たちにとって、生きるか死ぬかの大問題だった。