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はちゅうかんじけん

爬虫館事件

海野 十三

「新青年」1932(昭和7)年10月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,914 字 · 38 页

青空文庫

「今朝も大分警視庁の人に苛められましたから、もう平気で喋れますよ」と鴨田研究員は前提して「私は時計を見ない癖なのでしてネ、正午のサイレンからして、あれは多分十一時二十分頃だったろうと思うのですが、カーキ色の実験衣を着た園長が入って来られまして、そうです、二三分間だと思いますが、ここに出ている一頭のニシキヘビの元気が無いことから、食餌の注意などを云って下すって其儘出てゆかれたんです」

「それは此の室だけへ入って来られたのですか、それとも」

「今の話は奥でしました。私は別にお送りもしませんでしたが、園長は確かにこの潜り戸をぬけて此の室へ入られたようです」

「表へ出られた物音でも聞かれましたか」

「いえ、別に気に止めていなかったものですから」

「なにか様子に変ったことでもありましたでしょうか」

「ありません」

「園長が表へ出られたと思う時刻から正午までに、戸外に何か異様な叫び声でもしませんでしたか」

「そうですね。裏の調餌室へトラックが到着して、何だかガタガタと、動物の餌を運びこんでいたようですがね、その位です」

「ほほう」帆村は眼を見張った。「それは何時頃です」

「さあ、園長が出てゆかれて十五分かそこらですかね」