轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ちち

父

矢田 津世子

「日暦」1935(昭和10)年11月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 19,168 字 · 38 页

青空文庫

「まあ飯尾さんは」と母は面映い仕草で飯尾さんを小突くようにした。それからひとしきり飯尾さんの手振り身振りで幼友達の噂話などが出ると母はその頃へ還ったように浮き浮きとしてくるのだった。そんな二人の様子をみていると、いかにも母の寂寥を慰めてやるために父が飯尾さんをあてがったように思われてきて、それが母に対する父らしい劬りかもしれない、という気もちさえ起ってきた。そして、母が亡くなってからは何かしら手持ち無沙汰げに火鉢のところに坐っている飯尾さんをみかけたりすると、一そうそんな気がしてくるのである。

四

母の一周忌がすんで少し経つと姉がおきえさんを迎いに新潟へ旅立った。前まえから姉は内祝については何度も紀久子と打ち合せをしておいたのに立つ前日にはまた電話口へ呼び出して、表向きはどこまでもお父様のお世話をする人としてお迎えするのだから、そのつもりでほんの内輪の支度にしておくように、と念をおすのだった。正式に籍をいれるというのではなく、おきえさんはやはり今まで通りの父の妾としての資格で家へ迎えられるらしかった。それが何か淫らがましい雰囲気をはこんでくるようで厭だったので、いっそ母としてお迎えしたら、と姉に相談をもちかけると、