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ぶっしんいちにょのかがく
物心一如の科学
中谷 宇吉郎
「禪文化 第七号」花園大学禪文化研究会、1957(昭和32)年3月15日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,786 字 · 20 页
その一つとして物を取扱う以上ものには実質があって、その実質は不変であるということにしないと、学問を組み立てる足場がない。
茶碗の例についていえば、色はその実質とは関係がない。照らす光によってどうにでもなるからである。形も同様であって、今或る一つの茶碗をとって、それを粉々に割ったとしても、その粉を全部集めたら、茶碗の「実質」は全部揃うわけで、それは割った前と違わないと考える方が至当である。割ったために足りなくなったら、その分は破片を見失なったと考うべきである。
ところで茶碗を割らない前と、割ったあと全部の破片を拾い集めたかどうかを判定するには、一つだけ方法がある。それは目方を測ってみることである。もし目方をはかってみて、以前より少なかったら、破片を見失なったと思うのが普通で、事実、克明に破片を全部拾い集めてみると、目方は変らないのである。人間が台秤の上に載って、立っていても、しゃがんでいても、十五貫三百匁の人ならば、同じ十五貫三百匁である。この十五貫三百匁という目方が、その人の「実質」であって、これは姿勢などによっては変らない値なのである。
すべての物質には、この「実質」