轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
おぎふくうた
犀星王朝小品集
室生 犀星
室生犀星『犀星王朝小品集』。同一底本的分册已合并为一书。收入:荻吹く歌、舌を噛み切った女、玉章、津の国人、野に臥す者、花桐、姫たちばな。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 105,794 字 · 211 页
はぎ野は例のりこうげに立ち去ろうとした。
「わたくしこれにて……」
「待て。」
経之は鋭く呼び立った。
「もう一度念を押すがそちはこの家にもはや足をとどめることがあるまいな。」
「はい、いずれは?」
ぎょっとしてはぎ野は思うところに、経之が打つかって来たことを知った。
「いずれは去るか。」
「はい。」
きっぱりとした答えだった。
「経之をどうする?」
「あなた様のことはあなた様のこと、わたくしのぞんじ上げるところではございませぬ。」
「そうか、のたれ死の道を選ぶのか。」
経之はかっとして唾を吐いた。
「女の面に礫を打つような酷たらしい方には、従くような女はこの世界のどこにもいはいたしませぬ。」
経之はその言葉の前に、もう、一歩もすすめなかった。やっと彼はやけくそのような言葉を叩きつけた。
「行け。」
はぎ野は簀子のうえから去った。
頭がしんとなるような瞬間は、同時に甚だ空虚な、よい考えなぞ、うかんで来なかった。
数日の後、定明はやかたを出て、行方をくらましたが、恰度それから中一日を置いて、はぎ野も、誰にも何事をも明さずに、やかたを出て行った。しめし合したことは勿論であるが、春が来て秋がなかばになっても、かれらの行方がわからなかった。