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おぎふくうた

犀星王朝小品集

室生 犀星

室生犀星『犀星王朝小品集』。同一底本的分册已合并为一书。收入:荻吹く歌、舌を噛み切った女、玉章、津の国人、野に臥す者、花桐、姫たちばな。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 105,794 字 · 211 页

青空文庫

みやこの女はすてが現れたので、さらに二重の驚きをかくしきれないふうだった。すては袴野にいった。

「何故引き上げにならないの。」

「少しこみ入った話になったのだ、お前はあれに控えておれ。」

「いいえ、この方の奪いあいの談合をしているのではないか、貝様、そのようでございましょう。」

「この女の代りに財は皆袴野ノ麿に進ぜよう、と、そうおれが計っているところだ、だが、袴野は財は山割りにして女はみやこに還した方がよいというのだ。」

袴野はいった。

「この女をわれ一人で都に還すには、おぬしに疑義があろう、おぬしと二人で都はずれまで諸共に送って行ったなら、納得が行こうというもの。」

「そこで途中の藪でその腕っ節で貝が殺られるのか、そうは子供をあやすようにはまいらぬ。」

「貝、おれがそのような嘘吐きに見えるか。」

「殺め仕事はその場のものだ、そうはさせぬと言っても、そうせねばならない時は殺るし殺られる。」

「ではこの場はどうする。」

「おれに任せろ、なあ、袴野、すて姫に指一本障らぬ今までのおれにあやかってくれ。」

「すてにはおれがいる、何を恍けたことを言うのだ、女はおれが都に還す。」