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はんにん
犯人
「群像 第八巻第一号」1953(昭和28)年1月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,695 字 · 26 页
そこで彼は確信をもって断言した。
「この投書の主は花井訓導。あげられている証人が全部子供たちなのは、彼が子供に接する職業のせいです。そして、殺人犯人はこの花井です」
「なぜ?」
そこで人見は彼が事件の二三週間前に学校で花井と交した会話や、事件発生後の花井の奇怪な素振りをくわしく説明した。しかし毛里は聞き終ると、黙考の後ニヤリと笑い、首を振りながら、言った。
「それだけでは花井が犯人の証拠にはならないよ。その程度のことに比べれば、アンタとトランプの関係の方が抜きさしならぬ犯人の証拠さ」
「花井がサヨの情夫だったという証拠がありますよ」
「え? 本当かい?」
人見はバスの中で耳にした乗客の会話について語った。
「その乗客はアンタの村の人?」
「いいえ。よその村の者らしいが、その顔は覚えてます」
「どんな男?」
「農夫ともヤミ屋ともつかない四十ガラミの男です。かなり大きな荷物をぶらさげてこの町の目貫通りで降りましたよ」
「ヤミ百姓だな。それなら今日のバスで戻るに相違ない。よし一しょに行こう」
バスの停留場で寒風に吹かれながら待っていると、果してその男が現れた。人見は躍りあがらんばかりに喜んで歩み寄った。