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さるこぞう

猿小僧

萠円山人

「九州日報」1920(大正9)年1月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,635 字 · 12 页

青空文庫

六

そしてだんだん三人を森の奥深く誘い込んで行った。三人の悪者はドンドン追っかけて行ったが、その中の一人はあまり上ばかり見ていたので、うっかりして熊蜂の巣に足を踏み込んだ。驚いて飛び退くと、そのあとから何千何万とも知れぬ熊蜂が一度に鬨と飛び出して、三人の悪者に飛びかかって、滅茶滅茶に刺して刺して刺し殺してしまった。悪者共が死んでしまうと、小僧は悠々と樹の上から降りて来て、

「ヤア、熊蜂共。御苦労御苦労。さあ、約束の通り御褒美を遣るぞ」

と云って、砂糖の包を投げてやった。熊蜂共はブンブンと喜んで、

「これさえ下されば、私共は生命も何も要りません」

と土に這い付いてお礼を云った。

六

こうして猿小僧の御蔭で十三人の子供は皆無事で都に着いて、両親や兄弟に会う事が出来たが、皆の者の喜びは譬えようもなかった。中にも王様は小僧を御殿のお庭に呼び寄せて、太子を助けてくれた御褒美にと云って、いろいろのものを賜わったが、小僧はお金や着物なぞはちっとも欲しがらずに、只喰べ物ばかりを欲張った。そして、あまり嬉しかったので、逆立ちをしたり筋斗返りをしてお眼にかけた。王様も大層お喜びで、今日からこの小僧に乞食をやめさせて、御殿の中に抱えてやれとお言葉があった。