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さるこぞう
猿小僧
萠円山人
「九州日報」1920(大正9)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,635 字 · 12 页
「どこに行くのか」
と聞くと、一匹の大きな蟻が頭を上げて、
「砂糖を取りに行くのです」
と答えた。
「俺も砂糖を探しているのだ。何なら仕事を手伝ってやろう。その代り山分けにしてくれなければ嫌だ」
「どうぞ手伝って下さい。あまり沢山あって運び切れないので困っているのです。砂糖は向うの広場に落ちております。大方砂糖車から零れたのでしょう」
小僧はそこへ行って見ると、成る程沢山の砂糖が散らばって落ちていた。それを掃き集めてその半分を蟻の穴の傍へ持って行ってやると、蟻共はもうこれだけで穴に這入り切らないと云って喜んだ。小僧はあとの半分を持って引っ返して、森の奥深く這入って行った。
やがて生き肝取りの悪者三人がやって来ると、小僧は往来の真中へ飛出して大きな声で笑った。
「ヤーイ。又来やがったな。馬鹿野郎共。今度はあべこべに生命を取ってやるぞ。その前にこれでも喰らえ」
と云いながら、お尻を出してたたいて見せた。
「それ」
と云って三人が弓に矢を番えると、小僧は早くも身をかわして、子供達が隠れているのと反対の森に駈け込んで、木の頂上に逆立をしたり、逆様にブラ下ったりして見せた。