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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
11 一九四四年(昭和十九年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 174,521 字 · 344 页
あの通りを、あなたは早くお歩きになったことね、わたしはすこしかけるようについて歩きました。ではね。
五月十五日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 駒込林町より(封書)〕
五月十五日
今週の二人暮し日は妙な日どりになって、先達てうちのように、土、日とはゆかず、月曜の少しと火曜日ということになりそうです。今週は東京にいて、日曜日の防空演習に出てくれて助りました。たまには、こうして東京にいるのがいいわ、十一日に、開成山に行っている女中さんの一人が一寸来て、今日まで居て、大きい洗濯などして行きました。十六日から月番という当番で、隣組全体に関係するから、すっぽかしがきかず時間的に私一人ではやれないので、咲が十七日頃来るのでしょう。あの組も半月ずつというようなところで、出入りが頻々ね、そして、御本人が手紙見に行くから、面白いものです。この頃はいい身分になったね。どうして? 手紙がたのしみで、さ。ほんとだ。こんな問答けさいたしました。そして、けさは、私の目の前に(そのときわたしは食堂の椅子にかけて、あなたのネマキのつぎを当てていたの)ハイとお手紙出してくれました。おや。一人? うらまれそうだと云ったら、僕にも来てる、自転車がついたって、というような工合でした。