轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
11 一九四四年(昭和十九年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 174,521 字 · 344 页
あの時代の作家たちは、腰をぐっとおろしたら、なかなかのものね。シンクレアなんかは、ほんとに観察しているのかしら、と思うほど粗末で、素描的です。
炭坑の黒さ、重さ、やかましさ、実に浮き出していて、ドンバスで、長靴はいて坑内を歩いたときをまざまざ思い出します。十九世紀のフランスの坑はカンテラ灯でてらされていたのね、そしてトロ押しを坑夫の娘たちが男装でやっていたのね。石炭を燃した動力で、ケージを何ヤードも上下させていたのね。
ゾラとセザンヌと若いときは大いに親しかったのに、後年セザンヌはゾラを、気ちがいのように呼びました。ゾラが小説の中で、セザンヌをモデルにして、生成し得ない天才として描いたのがセザンヌをおこらせたからの由。ゾラを俗物という気持も(セザンヌとして)分るけれども、その俗物性(現世的事件にかかわる点。ドルフュスの時など)が歴史との関係でマイナスばかりではなかったことをわからなかったセザンヌは、やはり同時代人としての眼かくしをかけていたのですね。
同時代人というものの切磋琢磨的相互関係は残酷というくらいですね、同時代人は容易に自分たちの同時代の才能を承認しません、試しに試すのね。