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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

11 一九四四年(昭和十九年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 174,521 字 · 344 页

青空文庫

段々こんな風に修業してゆくうちに抵抗力もますのでしょうが。

多賀ちゃんから手紙が来て、いつでも行くと云って来ました。どちらにいてもめぐり合わせだからと小母さんがおっしゃるしって。けれどもやっぱり来て貰うのは先のことにいたしましょう。第一国男がこれから先どの位田舎暮しをするのかそれも分りませんから。あのひとは、多賀ちゃんがいくらか気づまりなのですって、「馴れていないからね」。きょうは、いいものが島田から参りました。栗よ。いつもあすこのは見事ですが、もう今月から一切こういうものの荷物は送れないことになりましたから大打撃です。とくに開成山から全く野菜が来なくなるのは厨房係には涙ものです。では別に。

十一月十九日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 駒込林町より(封書)〕

十一月十九日

きょうは少し嬉しいこと。雨が上ったばかりでなく、久しぶりで一人の時間が出来、家にいることも出来、ゆっくり書くひまが出来ましたから。金曜日に、風邪がうつって、と云って居りましたろう? あれが少々本物になりかかって、きのうは体じゅうこわれたセンベのようになって床について居りました。今日は眼の工合がわるくて、その点では書きにくいけれども、ぶくぶくに着て起きて居ります。