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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
11 一九四四年(昭和十九年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 174,521 字 · 344 页
ああいう風に慰めるものなのね。そしてそれは本当に与える慰安であって、愚痴のつれびきでないというところを感服し、一層なぐさめられました。十日のお手紙の調子全体は、ブランカのいろいろをすっかりわかっていて、その上で、一寸こっち見て御覧という風でした。なんなの、と見て、おやと思って、眺望の窓と一緒に心の窓もあいたようになって来る、そういうききめがありました。〔中略〕わたしは二十年以上もこんな気分の、不安定な家族の中で暮したことがなかったから、出直り新参です。新しくやり直しというところね。しかも私の条件が変って居りますからね。お客に来ているのではないから、ね。
火曜日にはすこしのんびりした顔つきを御覧に入れられると思います。
わたしの畑のホーレン草は、さっき花を剪りに行ったとき見たら、ほんの毛のような青いものが見えました。あれが芽でしょうか。心細いがでも生えるでしょう、一年めは駄目の由です。肥料をよく注意しましょう。ここでも、あっちこっちにつくると結構出来そうです。うちに子供たちがいなくなりましたから犬やこんな畑や気持の転換になります。籠の小鳥はどうしても苦手よ。