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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

12 一九四五年(昭和二十年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 120,583 字 · 240 页

青空文庫

(※(ローマ数字1、1-13-21)) 七月七日、きょうは又開成山から書いて居ります。六月十六日にここから巣鴨へ書いたのが戻って来てそちらのことがわかりました。急にお立ちになりましたね。道中は汽車もあの通りだしさぞお疲れになったろうとお察しいたします。シャツが一寸のことでゆきちがってしまって御免なさい。わたしもやっと安心して林町を引上げました。十二三日ごろもう一度行って最後の片づけをいたし、二十日ごろ立ってそちらに参ります。割合準備して落付くつもりでゆきます。

(※(ローマ数字2、1-13-22)) 七月七日、六月十六日のは戻りましたが、そのあと書いた手紙やエハガキはどうやらそちらへ行ったようね、着きましたろうか。久々ぶりの旅行でさぞお疲れでしょう。夜の汽車のさわぎ、あつい汽車の中、夜が明けかかって青々とした山野が見えるときの御気分、いろいろ思いやりながら五日の夜汽車にのって戻りました。青森行は大変ね、北の方ははじめてでいらっしゃるから風景も印象的でしたろう。まだアカシヤの花は咲いて居りますか。海も久しぶりの眺めでしたろう。そちらの景色はパセティックなところがあるでしょう?