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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

03 一九三六年(昭和十一年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 50,453 字 · 101 页

青空文庫

私も、もう数日後には面会に出かけます。本当に御心配下さらないように。小さい声で白状すればね、あなたがどこかへお行きと書いて下すった時分、どこかへ行っておけば今へばらなかったのでした。でも、私は、「七、八月は東京に居りません」というマンネリズムが我まん出来なかったのでね。御心配をかけて御免下さい。

シャツ上下薄手のをお送りします。『破戒』は絶版で古本をさがします。近々シンクレアの『ジャングル』を入れます。

九月十三日 〔市ヶ谷刑務所の顕治宛 駒込林町より(封書)〕

第十二信 九月十三日 日曜日午後

ああ、あしたは日曜日であると思う。そして、今朝、起きるとすぐ食堂へ下りて行って来信のところを見る。無い。これはどういうことであろう? 二週間何も書かれないということは? そう考え、顔を洗いながら私が病気をするような気候故、そちらも大変工合がわるくていらっしゃるのではないだろうか、このごろは残暑が苦しい、中川へ養生書の注文をなすったそうであるから。――いろいろと考える。或は又自動車で動くようなことがあって、それが障ったのではあるまいかなど。明日面会に行こう! そう思いつつこの手紙を書いて居ります。