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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
04 一九三七年(昭和十二年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 112,810 字 · 225 页
絵についても音楽についても私はこういう直感の科学性を豊富にしてゆきたいと思います。私の絵や音楽の批評は大抵はいつも当っているのだが、素人だから日本的レベルというものを自分では知らずにとび越しているので玄人は所謂エティケットを知らぬ奴と思う。文学において文壇をことわっているのに、絵や音楽やの通に追随する必要もない。
『二葉亭全集』は買いますから、そしたら御覧になるでしょう? 中村光夫、『二葉亭四迷論』あり。では又。私たちは月の美さを好きですね。この間の月夜は灯のない街と共に小説「二人いるとき」の中にかいた。お大事に。ずっとあの調子でしょう? 猶々油断なさらないで下さい、お願いいたします。
十一月二十五日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(竹内栖凰筆「若き家鴨」の絵はがき)〕
十一月二十五日、これがこの間の手紙で話した栖凰の絵の右の方です。左の方もつづけて御覧下さい。私たちの批評の当っていることをお認めになりましょう。きょう、やっとお手紙が届いたが、十二日の分は来ず、いきなり十八日の分です。十二日のを待って待っていて来なかったわけです、どうしたことであったろう。