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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

04 一九三七年(昭和十二年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 112,810 字 · 225 页

青空文庫

と仰云った由。それ限りでした。

翌十一日は母上がお見舞にゆかれ、私が家でお父さんの守をしていた。午後三時すぎ母上おかえり。やはり時間の問題と思うとのことでした。医者も今明日が危期という。お父さんは丁度九日位に血尿があって、それが鎮静していらっしゃるが、これらのことで興奮なさり、食欲不振でした。カンシャクも起った。それやこれやを話して、私は本をよみながら裏で風呂を焚いていたら、様子がわるいからすぐ来てくれという電話です。母上、今おかえりになったばかり。すぐ達・隆がトラックでゆきましたら隆がとってかえして来て、もうおなくなりになったとの報知です。呆然としました。それから母上、私、隆と野原へ出かけました。出かけようとしたら、父上、母さんを呼び止め、「俺がゆかれんから二人分してやってくれ」とおっしゃったそうです。隆治さんは初めて近親の死に会って非常にショックをうけました。激しく泣いた、私は、涙が胸の内側に流れるようで。(もっと複雑な感じ。時代的にも人生的にも様々の思いの輻湊した)

富雄さんは十一日の朝、克子は御臨終の直前にかえりました。講中の人々が来ている。