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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
06 一九三九年(昭和十四年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页
そちらで三四十分(最小限待つ)その間によみたい小説類をよむことにして居ります。かえってから午後の時間四五時間本気の読みもの。夜はこね時間。それが場合によって夜と昼と入れちがうこともあるわけです。それに私には手紙をかくために三四時間いる。きょうなんかでも。その位かかります。案外と思うようにかかります。こして見ると、栄さんと喋る時間、戸塚へ一寸よる時間がないようでしょう? 実際としてはそれがいりますし。勿論それは月に二三度ですが、この頃では。そして、なるたけ昼間にしてしまいました。夜だとついのびてしまうから。勉強の時間がそれでも削られる場合が生じるでしょうね。すこしずつしか読書が捗らないと叱られそうで気がひけます。なるたけうまくやって見ますが。私の速力をずっとおとしてよむから。おちざるを得ない相手でもあり。表のむらや何か、又どうぞ辛棒して見て下さい。むらがあっても絶えずというところからはじめたいと思いますから。本月一杯は読書を中心にして、来月は他に仕事が迫らなかったら、例の伝記をつづけてかきはじめ、それに必要な哲学の本を並行によんでゆくようにしたいと思います。