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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

06 一九三九年(昭和十四年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页

青空文庫

これも分るでしょう? 私たちきりになりたい心切です、では又あした。

七月十六日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 駒込林町より(封書)〕

六月十七日  第六十四信

金曜日には何とうれしかったでしょう! 栗林さんが、こちらへと云って待合室に来られたとき、思わず「ああうれしい」と申しました。ユリがあのようにして現れること、あなたには思いがけなかったでしょうか、こちらはやっとやっとの思いでした。土、月、水と行って居りましたから。

体のこと、本当に本当にお大切に。今のところ、本当にお大切に。これまでホン馬性にならず来たことは、あなたのお体としては見つけものでした、そのこと皆心配していたのです。あの一番ひどかったとき、あの手紙にいつか書いて下すったような統一性でおしのぎになったのだから、今回の低下期も、独自の集注でおしのぎになることを、心から信じて居て、そう心配いたしません、つまり気は揉みません。心のどこかで、息を凝しているようなところ勿論ありますけれど、それは自然のことですもの、ね。水の満々とたたえられたものを運ぶような集注、充実、平安で、どうかおしのぎ下さい。

手紙、どの位まで着いているでしょう。