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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

06 一九三九年(昭和十四年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页

青空文庫

作家の独自性ということについて、深刻に考えられます。これは去年の秋、親しい女友達の家庭にある紛糾がおこったとき、私がひどくびっくりしたり、いきり立ったりして、あなたが、なんだまるで自分の亭主でも云々とおっしゃったことがあったでしょう。おぼえていらっしゃるかしら。ああいうことにもむすびついているのです。あの折、あなたは感情の節度という点からいっていらっしゃいました。でもその根は、やはり、作家の生活ということに即してつきつめてみると、自主的(作家としての)に関係していると思われて来ました、この頃。或る時期女二人、一つ財布で暮したような生活、そこにあったプラスのもの。それからやがて生活の条件がかわってきて、それぞれ自分の配偶との生活で目に見えぬ変化を徐々に経つつ、自分の善意もめいめいその生活の現実の条件に立って活かすしかないということについての十分な自覚。それが今日の私と友達との信頼のありようの実際ですが、去年の秋はそこまで行っていず、やはり一つ財布で暮した時代の気持が中心にあったのですね。

文学について云えば、作家としての共通な立場の一般性に一緒に立っていたようなところがある。