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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
06 一九三九年(昭和十四年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页
は人生態度で人生問題であって、婦人問題でも社会問題でもない、と云っているのは、筋がとおっている。それでも『妾の半生』(改造文庫)では、この人は自身について割合客観的でないのにおどろかされますが。彼女は「若き日の誇り」をずっともっていたらしいから、その故で却ってそうなったのでしょうね。まだ出かけるかどうか気がきまりません、大変愚図だね、とお思いになるでしょう。では。
八月二日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 駒込林町より(封書)〕
八月二日 第七十三信
今、午後の四時半。あなたは何をしていらっしゃるところでしょうか、けさは国男さんの出るとき一緒に出かけて今まで上野でした。おべん当をもって行くのを忘れたので、おひるぬきで今までいて、大ぺこでかえって来て、おそい昼を終ったところ。夕立がやんだ後としてはむしますこと。八十二度で低いのだけれど。
今、何をしていらっしゃるでしょうね。体をしずかにしながら読んででもいらっしゃるでしょうか。私はそこへ行き、ベッドの横のところへ、頭を休めて、わきの床へ坐りこみます。ずっと読みつづけていらしてかまわないの、私はそうやっていれば気が休まるのだから。