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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
06 一九三九年(昭和十四年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页
きのうはかえりにすぐ栗林氏の方へもまわり。南江堂でよく本しらべましたが、中央公論のと小南著とを合して使った方がよさそうです。それは揃えました。二冊が云々ならば小南の分だけでしょう。
あれこれ書き終ってやっと小説にとりかかります。従って眼玉を据えて居る次第です。でも三日、五日は出かけます。自分の心持としてその日うちにいるのが不自然ですから。やっぱり落付けないにきまっているし、いわば何のために暑い思いしていたのか分らなくなりますから。十月の十日にはそちらへ行っていいでしょうか。四日には寿江子に行って貰うことにいたしますが。一度でもいやなの。何と慾ばりでしょう。病気して動けないのでない限り。この調子では何だかいやで自身出かけそうです。こうしてはどうかしら。三日朝出がけにそちらへ廻るとしたら。そちらはおかまいにならないでしょう。多分そんなことになりそうです。
食事のことや何か忙しいと、今の状態では閉口だし、人からにげたいし、きょう午後から仕事終るまで林町に籠城いたします。用事を足すにもいくらか便利ですから。多分九日まで(これはおそくても、です)。本当は七日まで、ですが。