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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
06 一九三九年(昭和十四年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页
ニコニコしていたの? いいこと! 行きにうちへ一寸よっておむつかえたりして遊んだとき、柿をしゃぶって食餉のまわりぐるぐるつかまって歩いてやっぱり笑って居りました。太郎はあなたにおめにかかって笑わなかったでしょう。あれはああいうのよ。アババをやって見せたというのは実に実に愉快。てっちゃんどんなにうれしかったでしょう。お礼の手紙を出しましょう。
全集五巻というのは、何だか話がゆきちがいましたが、ウリヤーノウの、おっしゃっていらしたもののことですが。この間からずっとさがしていた分。改造文庫にといっていらした分、それです。
『朝日』に真船豊が作品月評をかいています。このひとは自分が戯曲だからか、小説の文章という方からだけ一貫してものを云っていて、鏡花だの万太郎だのと云い、よろしくないのですが(北原武夫の芸論に拍車をかけるから、大局的に。北原武夫というのは宇野千代の良人)「杉垣」のこと、胸を打つ文章として語って居ます。このひとの考えかたによると、「杉垣」の胸をうつのは、沈潜した、思索的な文章でかいてあるから云々というようなところで、何だかピントが狂っていますが。