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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
10 一九四三年(昭和十八年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 215,557 字 · 426 页
はつづけられます。『文芸春秋』に西村茂樹のことを山田孝雄がかいていましたね、ああいう政治家国学者にとかく評されて祖父も苦笑でしょう。『衛生学』はまだ発刊されていないそうです。もう本屋に久しい前から申しこんでありますが。
森長さんのこと承知しました。火曜頃届けます。手紙をつけて。冬シャツは安積の方をこの夏しらべて貰います。私ももう一枚は無くてはならないと思ってそれで気にして居りますから。今年着ていた「袖抜け」と命名されたのは、そうなのよ。十年来のものです、そして肱がぬけましたか? 実によく役に立ちいろいろとすてがたいシャツ君ですが。では大事に洗ってよく虫よけいれて、休ませてやりましょうね。辛苦を倶にしたものですもの。そういえば今年の下着、二いろの布の合わされた綿入れはどこにいましょう? 前でしょうか? 前へお願いいたします。私はお言葉を服膺して出かけませんが、とりにだけは行って貰いますから。
ペンさんの嫁入り先の家は台湾の日糖とかいう会社につとめています。それは親父。若い人は石油の発掘専門の統制会社につとめています。姉たちは財閥の小番頭の又その番頭というようなところに嫁入っています。