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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

10 一九四三年(昭和十八年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 215,557 字 · 426 页

青空文庫

健之助は丈夫な児でまことに可愛うございます。秋にはお目にかけましょうね。それはそれはいい香いがするのよ、暖く眠っている床が。かぐわしき幼児というのは本当です。マホービンは、あちこち当って見ましたが、どうも望みなしです。真空瓶をつくるところでききましたが。ここにあるのに外側をつけることを研究して見ましょう。ビールビンではマホービンにならぬ由です。

五月二十九日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 駒込林町より(封書)〕

五月二十九日、

二十六日のお手紙ありがとう。用向きから。『結核』送るばかりにしていてつい忘れていてつい三四日前に出しました。これとゆき違いに到着していますでしょうが、御免なさい。紐までかけておいてつい忘れたの。週刊朝日、日曜毎日はすぐ手配いたしましたが、本月から予約ぎりぎりの部数しかなくて、どこか一軒おやめになったらまわしますという有様で閉口です。週刊の方は出版局に杉村武という記者を知って居ますから、たのんで何とかして貰おうかと考え中です。毎日の方は当がなくて困りますが。明日は日曜だから待ってみて、次の段どりをします。『日本評論』、『文芸』、『独語文化』