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げんだいにんじゅつでん
現代忍術伝
「講談倶楽部 第一巻第八号~第二巻第三号」1949(昭和24)年8月1日~1950(昭和25)年3月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 76,446 字 · 155 页
「ウム」
神の使様は大きくうなずいて、
「御神示を復唱してみい」
「ハッ。天草商事の全社屋、全事業、全財産を差しあげてお許しを乞いましたところ、おききゆるし下され、東京へ遷座し、かしこくも天草商事本社を神殿として御使用下さる由申渡されました。社の事業、全財産のみならず、私物一切奉納して、奉公いたします。皆様の宿舎には、社の寮、私の私宅、全部提供いたします」
「コウーラッ!」
よろこぶかと思いのほか、神の使者はにわかに鬼の相となって、一喝のもとに天草次郎を蹴倒してしまった。それと同時に、他の二名も、それぞれの使者に蹴倒される。
「キサマらの魂には、まだ曇りがあるぞ」
蹴倒しておいて、踏みつける。
と、白衣の連中、それをかこんで円をつくり、
「マニ妙光。マニ妙光」
高々と手をすり合わせて、合唱し、グルグル廻りをはじめる。ミコが鈴をふって駈けこんできて、列に加わる。太鼓や琴の奏楽が起る。
三十分ほど踏みつけて、失心状態になったころ、奏楽が終った。
魂に曇りがあるワケではない。これはマニ教の常套手段である。
神の術を施す先に、先方が術にかかってきたから、内々ほくそえんだが、さすがに神様は慎重である。