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げんだいにんじゅつでん

現代忍術伝

坂口 安吾

「講談倶楽部 第一巻第八号~第二巻第三号」1949(昭和24)年8月1日~1950(昭和25)年3月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 76,446 字 · 155 页

青空文庫

「信徒が神様にお目通りできるまでには、何段となく魂の苦行がいるぞ。御直身と申して、神様につぐ直の身変りの御方。この御方にお目通りするまでにも、何段となく苦行がいる。お前らはイブキをうけ、ミソギをうけたから、信徒として、許してつかわす。毎日通ううちに、身の清浄が神意にとゞいたら、御直身がお目通りを許して下さるだろう。神様のお目通りなぞは二年三年かなわぬものと思うがよい。今日は立ち帰って、明日出直して参れ。ミソいでつかわすぞ」

「それじゃア、神示は却々いただけないのですか」

と、半平がきいた。

「ボクのオヤジは商売の神示をうけたいのですよ。いえ、それが本性なんです。神様にお目にかかれなくっても、神示はいたゞけますかしら」

半平はくすぐったそうに、ニヤ/\した。

「オヤジはね、ガンコだから、信心となると、何月何年でも箱根に泊りこむ意気込みなんですからね。ボクら、それが困るよ、なア。第一、会社だって、困らア。なア、雲隠君。もっとも、キミたちが会社と箱根を往復してりゃ、すむかも知れないけど、ボクはこんな山奥に何ヵ月もいたくないですよ」

「会社の方は、なんとかするよ」