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げんだいにんじゅつでん
現代忍術伝
「講談倶楽部 第一巻第八号~第二巻第三号」1949(昭和24)年8月1日~1950(昭和25)年3月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 76,446 字 · 155 页
秘書ともあろうものが、ワガママは許されないよ。ヤミの天才で名をうった雲隠才蔵ともあろうものが、朝の八時にサルマタが買えなくってどうするのさ。宮ノ下でも、小田原でも、どこまででも行って、買って戻ってきたまえ。我々は職務を果しましょうよ。ねえ、そうでしょう」
そこはヌカリのない面々のこと、そうか、仕方がねえ、とつぶやいて、サルマタ買いにでた様子。半平の報せで、女中たちが跡始末にきたが、ブツクサ云わず、笑いもせず、処置をつけているらしく、その裏には半平の手際の妙があるのであろう。
「お父さん、こゝへユカタ置いときますよ。サルマタも、新しいの買ってきました。さすがに、わが社の至宝、才蔵クンは神速なるもんですよ。今度、月給あげてやって下さいな」
食事となっても、正宗菊松はひたすら黙然、顔もあげられない。
「お父さん。元気をだして下さい。ツルちゃん。キミ、お父さんの肩をもんであげなさい」
ツル子がハイと立ち上って、せッせと肩をもんでやる。ツボも心得て、ミゴトなお手並である。快感。思わず夢心地になりかけると、フッと溜息がでて、涙がにじんでしまうのである。
「ボクも、ノブちゃん、肩をもんでもらいたいね」