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げんだいにんじゅつでん

現代忍術伝

坂口 安吾

「講談倶楽部 第一巻第八号~第二巻第三号」1949(昭和24)年8月1日~1950(昭和25)年3月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 76,446 字 · 155 页

青空文庫

おだてるない。お前みたいな忠勤ヅラはアイソがつきてるんだ。今さら、つきあえるかい」

「そこが主人持ちのあさましいところだよ。オヌシもポツネンと山奥の宿へおいてけぼりで、なんとなくパッとしないな」

「胸に一物あってのことよ。忠勤ヅラは見ていられねえや」

「さあ。そこだよ。どうだい、兄弟。ここんところで、石川組と天草商事を手玉にとってみようじゃないか」

「兄弟だって云やがらア。薄気味のわるい野郎じゃないか」

「アッハッハ。ノガミの浮浪者が、こんな出会いで集団強盗をくみやがるのさ。しかし、河内山もこんなものだろうよ。ところが、アタシの考えは、もっと大きい」

サルトルは才蔵の耳に口をあてゝ、ボシャ/\/\とさゝやいた。

「どうだい。ちょッとシャレていると思わないかい。雲さんや」

「よせやい。箱根で雲さんなんて、雲助みたいで、よくねえや」

「このあとには、オマケの余興があるのだよ。正宗菊松をオトリに、マニ教をたぶらかす手がある。お金をほしがる亡者ほど、お金をせしめ易いものだな。これが金の報いだな」

「石川長範はウスノロかも知れないが、天草次郎は一筋縄じゃいかねえや」

「ハハハア」