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げんだいにほんのしそうたいりつ

現代日本の思想対立

戸坂 潤

「現代日本の思想対立」今日の問題社、1936(昭和11)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 125,540 字 · 245 页

青空文庫

ここまで来ると思想善導、国民精神作興、国体観念宣伝は、ついに動員計画にまで落ちつくのである。要するにこれ等のものは精神動員計画だったのである。

ところでこの精神動員計画は実は単なる計画ではなくて、すでに着々動員に着手されているのを忘れてはならない。一日一銭ずつ積み立てて軍艦建造費にあてようという運動や(大阪の海軍在郷軍人)、一日三銭というのもある(東京)。某中学では一人月十銭ずつの国防献金もあれば、愛国飛行場建設の志望も二十一カ所におよんだ(二月)。帝国飛行協会はこれを三百にまで漕ぎつけようとして奮起した。

政府の発表によると(二月)こうした愛国美談の結晶である軍事献納金は、昭和六年度が五八、一〇七円、七年度が七六、〇二二円、八年度が七六、二一六円、という具合に累加しているそうだが、三四年も決してこれより少なくはあるまい。

精神国防動員は青少年(海軍も青年訓練所を通じて海軍思想の普及を企てる)、学生(「愛国学生連盟」の閲兵式、七大学の「国防研究会」の結成)、女性(「大日本国防婦人会」)、小商人、その他各方面の軽頭分子を駆り立てることに現に成功している。