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いきぬくちから

生きぬく力

小川 未明

「新児童文化 第1冊」1940(昭和15)年12月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 5,352 字 · 11 页

青空文庫

「ああ、小泉じゃないか。」と、驚きました。

「うん。」と、少年もはじめて気がついたらしく、にやっと笑って、うなずきました。

「ああ、君の家はここか。」ともいわずに、そのままハンドルのよくきかぬ自転車に乗って、いってしまいました。

垣根のゆるむ原因はわかったが、孝二は、おじいさんに、だまっていました。

算数の時間でした。先生は、黒板に問題を出されて、

「これをまちがわずに、いちばん早く答えを出したものに、ほうびをやろう。」と、一本の青色の鉛筆を高く上げて示されました。

「先生、一人だけですか。」

「いや、いちばんおそく出したものにも、名誉のほうびをやろう。」と、先生は、こんどは使用されている鉛筆を高くさし上げられました。

生徒は、がやがやといいはじめた。

「名誉の鉛筆をもらいたくないものだ。」という声がしました。

しばらくの間、教室は、しんとして、真剣な空気がみなぎりました。

「はい、先生できました。」と、ノートを持って、元気よく教壇に進み出たものがあります。それは、孝二でした。

「早いなあ。」

「僕は、まだ二つしかできないぞ。」

そんな、ささやきが聞こえると、答案に見入っていられた先生は、