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せいしまんじどもえ

生死卍巴

国枝 史郎

「雄弁」1928(昭和3)年9月~1929(昭和4)年8月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 91,598 字 · 182 页

青空文庫

(これは内乱に相違ない! が、どうして内乱なんかが?)

丘の頂きに立ちながら、そういう光景を眼の中へ入れた、醍醐弦四郎はそう思ったが、しかし、弦四郎の身にとって見れば、白河戸郷に内乱のあるのは、まさにもっけの幸いであって、内乱の事情などどうであろうと、かかわるところではないのであった。

そこで弦四郎は部下を連れて、盆地を下へ走り下った。

(どさくさまぎれに小枝を攫おう)

こう思ったからであった。

新しき登場者

さてこういう出来事が、白河戸郷や丹生川平の、二つの別天地に起こっている時、この別天地をつないでいる、花の曠野へ四挺の山駕籠が、浮かぶがように現われて来た。

何者達が乗っているのであろう?

勘右衛門とお菊と弁太と杉次郎とが、駕籠には乗っているのであった。

愛と憎とのもつれ合っている、この四人の男女のものが、どうしてこのように一緒になって、このような所へ来たのであろう?

勘右衛門がお菊を訊問することによって、お菊が勘右衛門の大切にしていた、例の品物を京助の手により、古物商の刑部老人の元へやったということを知ることが出来た。そこで勘右衛門は刑部の家を訪ねた。