轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

たざきそううんとそのこ

田崎草雲とその子

吉川 英治

「文藝春秋 夏期増刊号」1932(昭和7)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 19,568 字 · 40 页

青空文庫

不義という言葉が、まだ厳正な制裁をもつ時代だったが、草雲は黙って見ていた。わが子の理性を信じたい。同時に、その格太郎は、表面、非常に優しくは見えるが、心には――血には、母の菊から享けた松井家の血を多分にもっている。非常な、強さを、明眉な微笑に、つつんでいるのだ。

『母の血統だ。どうか、あの情熱が、よい方へ、燃えてくれればよいが』

たった、一粒種である。草雲は、それを思う。父としてそれを案じる。

草雲四十七歳。世は文久元年。

彼は、格太郎を塾に残して、足利の藩邸へ帰った。永く脱藩のかたちになっていたが、その後、藩侯から寛大な沙汰があって、数年前に名目だけは足利藩へ復帰していたのである。

急に、彼が、画筆をすてて足利へ戻ったのは、加速度に険しくなってきた時勢に衝撃されたのである。王政回天の輿論、攘夷の叫び、討幕の運動、すさまじいものになってきた。若い無名の人々の理想が実現されんとしている。

隣りの星巌とは、常に時事を談じ、王道政治の復古を説き、海外問題では、鎖国か開国か、唾をとばして、議論をしたこともある――また、時々、誰も知らない同志から、彼に、密書が来、檄がとんでいた。