轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ゆふいんこう
由布院行
中谷 宇吉郎
「社会及国家」1926(大正15)年5月20日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,779 字 · 14 页
六千坪の草原は半ば以上拓かれて、趣のある日本式の庭園になっていた。そしてその中に小さく建っている茅葺の家まで、庭園の一つの景物となっているのにも、伯父らしい用意が偲ばれた。
自動車の音を聞いて、伯父は素肌に帷子の袖無しを一枚着たままでとび出して来た。三年ぶりなので、さすが白髪は目立っていたが、思ったよりも元気であった。
一わたり東京の話をきいて、伯父は如何にも満足らしく喜んでくれた。実は卒業した年の四月ちょっと忙しかったもので、暫く手紙を出さなかったところが、落第したために通知が出来なかったものと合点して、「誰でも間違いはあるものだから、もし落第なんかしたのでも気を落さないで」などと、慰めの手紙を寄してくれたことがあったのであるが、こんな所で、山と雲だけを眺めている伯父の身にとっては、もっともな心づかいであったのである。
東京の忙しい生活に追われていた自分は、久しぶりで昔の生活に返ったような気がした。小川をとり入れた小さい池も、伯父が自分で彫ったらしい梅里庵という篆字の額も、すべての風物が珍しかった。帆足万里の軸の前に坐って、伯父は今の生活の心安さを色々と話してくれた。