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まちのてんし

町の天使

小川 未明

「赤い鳥」1926(大正15)年1月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 4,100 字 · 9 页

青空文庫

それで、しばらく、床の中で、じっと考えていました。あらしの音は、いよいよはげしくなって、林の鳴る音や、落ち葉の風にまかれて飛ぶ音などがしていたのであります。また、このあらしの間にまじって、

「Sちゃん、遊ぼう!」と、自分を呼んでいる子供の声がきこえてきました。

「だれだろう?」と、少年は思って、床から出て窓の障子を開きました。すると、あちらに、赤い帽子をかぶった二人と、黒い帽子をかぶった一人の子供が、三人でおもしろそうに遊んでいて、自分を手招ぎしたのであります。

「だれだい?」と、少年は呼びかけて、その三人をじっと見守りました。すると、一人は年ちゃんで、一人は正ちゃんでありました。黒い帽子をかぶっている子供は、まったく知らない子供のように思われました。

「年ちゃんに、正ちゃん、君は、どうしたんだい、死ななかったのかい。不思議だなあ……。」と、少年は、死んだはずの二人の友だちが、このあらしの吹く日に、どこからか帰ってきて、自分を誘いにきたのを、少なからず不思議に考えたのでした。

三人は、しきりに、自分を手招ぎしていました。少年は、お母さんに聞いてみて、すぐにも外へ出ていこうと思いました。