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まちのてんし

町の天使

小川 未明

「赤い鳥」1926(大正15)年1月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 4,100 字 · 9 页

青空文庫

彼は、ふらふらとへやの中を歩いて、茶の間の方へいって、

「年ちゃんと正ちゃんが迎えにきたから、いってもいい?」と、お母さんにたずねました。すると、お母さんは、走ってきて、

「なんで、おまえはねていないのです。」といって、しかられました。

少年は、年ちゃんに、正ちゃんが外で呼んでいるから、二人を家へいれてくれと頼みました。

「僕、さびしくて、しかたがないんだから……。」といいますと、お母さんは、青い顔をして、目を大きくみはって、少年をにらみました。

「なんで、年ちゃんや、正ちゃんが、おまえを呼びにくることがあるものか。おまえは、夢を見たんだよ。」といいました。

少年は、それを打ち消すようにして、

「お母さん! ほんとうに、外で僕を呼んでいたんですよ。うそだと思ったら、見てごらんなさい。」と、少年はいいました。

「じゃ、私が見てみよう。そして、もしいたら、しかってやろう!」と、母親はいって、窓から、あちらを見ました。

「だれもいないじゃないか。おまえは夢を見たのだよ。」といって、母親は、寒いので、障子をぴしりと閉めてしまいました。

その日から、少年の病気は、いっそう重くなったので、家の人たちは、みんな心配したのであります。