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まちのてんし
町の天使
小川 未明
「赤い鳥」1926(大正15)年1月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 4,100 字 · 9 页
風は、吹いて、吹いていました。少年を乗せた、天使は、北へ、北へと旅をつづけたのであります。
そのうちに、紅い潮の中から、一つの美しい島が産まれました。天使は、その島の空を飛びまわりました。見下ろすと、そこには、真っ白な大理石の建物が、平地にも、丘の上にもありました。その有り様は、見たばかりでも神々しさを覚えたのでした。どんな人がこの島の中に住んでいるだろうか? 少年は、もし美しい人たちで、自分を愛してくれるような、やさしい人々であったら、自分はこの島に住みたいと思いました。しかし、その島は、こんなふうに神々しかったけれど、しんとして音ひとつしなければ、また煙の上っているところもありませんでした。地の上に、赤いところや、白いところの見えるのは、花が咲いているのだと思われました。そのうちに、下の道を白い衣服をまとった人々が、脇見もせずに歩いていくのが見えました。その人々は、尼さんが会堂へゆくときのように、笑いもしなければ、話もしませんでした。これを見ると、体じゅうに寒けを催しましたので、この島へ降りてみようとは思わなくなりました。
「あんまり遅くなると、みんなが心配するから、もう、かえりたい。