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まちのてんし

町の天使

小川 未明

「赤い鳥」1926(大正15)年1月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 4,100 字 · 9 页

青空文庫

少年は、窓からのぞいて見ると、お菓子屋の看板の上にとまっている天使が、ひとりで、あらしの中に遊んでいたのでした。

「君は、いつも真夜中になると、人の知らない間に空を飛んで、星の世界へいったり、また林の中へはいったりして遊んでいるのだろう……。」と、少年はたずねました。

天使は、はずかしそうな顔をして笑っています。

「今日は、空がよく晴れて、それに風が寒いから、つい天国が恋しくなって、飛んでいました。」と、天使は、答えました。

少年は、あちらの青い空が、ただなんということなしに慕わしくなりました。それに、海の方へといってみたくなりました。

「僕をつれていってくれないか?」と、天使に向かって頼みました。

小さな天使は、しばらく考えていましたが、魔術で、少年を小さく小さくしてしまいました。

「さあ、しっかりと私の脊中にお負さりなさい。」と、天使はいいました。少年は、天使の白い脊中にしっかりと抱きつきました。いつしか、青い空と白い雲の間を縫うようにして、飛んでいたのであります。

目の下には、海が、悲壮な歌をうたって、はてしもなく、うねりうねりつづいていました。