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ちょうないのにてんさい

町内の二天才

坂口 安吾

「キング 第二九巻第一四号」1953(昭和28)年12月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,836 字 · 26 页

青空文庫

長助はしきりに打たれて三回までに五点とられた。

「よく打ちやがるなア。あのピッチャーだってうまいんだがなア。あの左腕からくりだす豪球――」

「豪球じゃないや。ヘロ/\じゃないか」

「バカ。相手のピッチャーが豪球すぎるから、そう見えるのだ」

「ウソだい。あんなヘナチョコピー、珍らしいよ、なア。クジ運がよかったから準々決勝まで残れたんだい。別の組だったら一回戦で負けてらア。ほら、ごらんよ。石田が降りて、第二投手がでてきたよ。第二投手でもあのヘナチョコの倍も速いや」

「なるほど、速い。そろっているな。超少年級。プロ級じゃないか」

「バカ云ってらア」

長助チームは第二投手も全然うてず、五回にして十一対〇。コールドゲームであった。金サンは茫然。夢からさめたように立ち上った。帰って行く長助チームの姿を認めて追いついてみると、彼らは敗戦などはどこ吹く風、まるで負けたのが愉しそうである。

「全然かすりもしねえや。速えなア」

敵に感心して、よろこんでいる。金サンは部長の先生に話しかけた。

「運がなかったですね。あんな強いのにぶつかっちゃアね」

「イエ。運がよかったんですよ。ここまで来れたのがフシギですよ。