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ぎわく

疑惑

江戸川 乱歩

「写真報知」報知新聞社、1925(大正14)年9月15日、25日、10月15日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,308 字 · 37 页

青空文庫

一、その翌日

一、その翌日

「お父さんが、なくなられたと、いうじゃないか」

「ウン」

「矢張り本当なんだね。

だが、君は、今朝の○○新聞の記事を読んだかい。一体あれは、事実なのかい」

「…………」

「オイ、しっかりしろよ。心配して聞いているのだ。何とかいえよ」

「ウン、有難う。……別にいうことはないんだよ。あの新聞記事が正しいのだ、昨日の朝、目を覚ましたら、家の庭で、親父が頭を破られて倒れていたのだ。それだけのことなんだ」

「それで、昨日、学校へ来なかったのだね。……そして、犯人はつかまったのかい」

「ウン、嫌疑者は二三人あげられた様だ。しかしまだ、どれが本当の犯人だか分らない」

「お父さんはそんな、恨を受ける様な事をしていたのかい。新聞には遺恨の殺人らしいと出ていたが」

「それは、していたかも知れない」

「商売上の……」

「そんな気のきいたんじゃないよ。親父のことなら、どうせ酒の上の喧嘩が元だろうよ」

「酒の上って、お父さんは酒くせでも悪かったのかい」

「…………」

「オイ、君は、どうかしたんじゃないかい。……アア、泣いているね」

「…………」

「運が悪かったのだよ。運が悪かったのだよ」

「……おれはくやしいのだ。