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ぎわく

疑惑

江戸川 乱歩

「写真報知」報知新聞社、1925(大正14)年9月15日、25日、10月15日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,308 字 · 37 页

青空文庫

二、五日目

「足跡は」

「それは駄目だよ。このお天気で、地面がすっかりかわいているんだから」

「……君の所には、やとい人はいなかった様だね」

「いないよ……ア、では、君は、犯人は外部からはいったのではないと。……そんな、そんなことが、いくらなんでも、そんな恐ろしいことが。きっとあいつだよ。その親父になぐられた男だよ。労働者の、命知らずなら、危険なんか考えてやしないよ」

「それは分らないね、でも……」

「ああ君、もうこんな話は止そう。何といって見た所で、済んでしまったことだ、今更どうなるものじゃない。それに、もう時間だよ。ぽつぽつ教室へはいろうじゃないか」

二、五日目

「それじゃ、君は、お父さんを殺した者が、君の家族の中にあるとでもいうのかい」

「君は、この間、犯人は外からはいったのではないという様な口ふんを漏らしていたね。あの時は、そんなことを聞くのが嫌だったので――というのが、いくらかおれもそれを感じていて、痛い所へさわられた様な気がしたんだね――君の話を中途で止めさせて終ったが、今、おれは、その同じ疑いに悩まされているのだ。……こんなことは無論他人に話す事柄じゃない。出来るならだれにもいわないでおこうと思っていた。