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ぎわく

疑惑

江戸川 乱歩

「写真報知」報知新聞社、1925(大正14)年9月15日、25日、10月15日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,308 字 · 37 页

青空文庫

五、約一ヶ月後

「理窟ではそういうことになるね。だが、どうした訳か、おれは、兄や妹を疑う一方では、自分自身までが、妙に不安になり出した。全然父の死に関係がないとはいい切れない様な気がする。そんな気がどっかでする」

五、約一ヶ月後

「どうした。何度見舞に行っても、あわないというものだから、随分心配した。気でも変になったのじゃないかと思ってね。ハハハハハ。だが、やせたもんだな。君の家の人も妙で、くわしいことを教えてくれなかったが、一体どこが悪かったのだい」

「フフフフフフ。まるでゆうれいみたいだろう。今日も鏡を見ていて恐しくなったよ。精神的の苦痛というものが、こうも人間をいたいたしくするものかと思ってね、おれはもう長くないよ。こうして君の家へ歩いて来るのがやっとだ。妙に体に力がなくて、まるで雲にでも乗っている様な気持だ」

「そして病名は?」

「何だかしらない。医者はいい加減のことをいっている。神経衰弱のひどいのだって。妙なせきが出るのだよ。ひょっとしたら肺病かも知れない。いやひょっとしたらじゃない。九分九厘そうだと思っている」

「お株を始めた。君の様に神経をやんでいたんではたまらないね。