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しろいあさ

白い朝

豊島 与志雄

――「正夫の童話」――

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,920 字 · 35 页

青空文庫

」

正夫は返事をしませんでした。けれど、返事がないのは承諾のしるしでしょうか。正夫はそこの、形ばかりの粗末な亭のベンチに、腰をおろしました。

そしてチビが話した事柄は、ひどく複雑なようでもありまた簡単なようでもあって、正夫にはよく腑におちませんでしたが、要するに――

芝田さんの現在の家屋は、一番と二番と二重の負債担保物件になっています。二番担保の方は、金貸業者の常見からの三千円で、可なり悪質のものです。その延滞がちな利息を、駒井菊子さんが使者になって、時折届けてるうちに、先方では次第に元金返済の督促まできびしくなり、一応、ゆっくり逢って話をつけようということになりました。駒井さんにも立合って頂きたいとのことでした。そこで芝田さんは、駒井さんを連れて、さる料理屋に出かけました。先方からは常見と、やはり立合人として、常見の親戚にあたる者で、或る証券会社の社員をしてる、並河という男が来ました。話は至極穏かで、飲食の間にいろんな世間話が出て、芝田さんはいい気持そうに酔いました。それが昨日のことです。

「そんな時に酔うなんて、芝田さんらしくて、愉快じゃないか。