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はくもくれん
白木蓮
豊島 与志雄
「芸術」1947(昭和22)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,039 字 · 24 页
「梶山さん、強がったってだめよ。富久子さんと浮気も出来ないくせに、喜美ちゃんと結婚するなんて……。」
「浮気をしないから、結婚するのさ。」
「だめよ、梶山さんじゃあ。第一、年があまり違いすぎるし、何から何までつりあわないわ。だから、喜美ちゃんと結婚するなんて、それもやっぱし浮気じゃないの。そんな浮気なら、わたしが封じちゃうわよ。石塚さんと同じことよ。」
石塚のことなら、私もだいたい知っている――。大商店の二男坊とかで、年も若く顔立もととのっていて、きれいにとかした髪をポマードで光らしていた。カツミによく現われて、甘いものや辛いものを飲んでいった。しんから酔っ払ってることはないが、いつも適度に酔ってる風をしていた。しばしば、何か手頃なものを、特別な菓子とか特別な石鹸とか、喜美子に持って来てくれ、ゆっくり話しこんでゆき、また、映画や芝居へ連れ出そうとした。その石塚が、喜美子に対して、次第にしつっこく大胆になってきた時、桃代は彼を或る待合へ誘い込んで、小秀という若い妓とくっつけてしまった。それからカツミで、石塚に出逢うと、どうして小秀さんを連れて来ないかと、そんなことから、巧みな言い廻しで、彼と小秀との仲を皆に披露してしまったのだ。